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ミニボート・2馬力ボートの安全性を見つめ直す その4.1  FRP素材について

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プロフェッショナル ミニボートビルダー blog ~ 船体設計製造から安全装備を日々考える~

オーパ・クラフト~~プロフェッショナル ミニボートビルダー blog ~ 船体設計製造から安全装備を日々考える~~~ミニボート・2馬力ボートの安全性を見つめ直す その4.1  FRP素材について

ミニボート・2馬力ボートの安全性を見つめ直す その4.1  FRP素材について

前回のブログでは,最近市場に出回っているミニ・ボート,2馬力ボートに強度が不足しているものが多くなっていることを懸念しているとお話しました。今回は、FRP製のボート本体の強度について考えるため、まず出回っているFRP素材そのものの強度について,専門的な視点から少し述べてみたいと思います。

FRP製品の強度

FRP製品のものづくりで「強度」ということを考える時,私達FRP素材を正当に使おうとする者は、FRPの代表的な強度指標である「引張ひっぱり強度」を先ず重要視します。引張ひっぱり強度とは, 文字通り材料を引っ張ったときにどれくらいの力まで耐えられるのかを表す指標です。ゴムや多くのプラスチックは,人の手で引っ張ったくらいでも切れたり裂けたりしますが,金属やガラス,陶器片を人の手で引っ張っても切れたり裂けたりしませんよね。製品の材料として使われる場合,外部から加わる力や,内部で発生する力に耐えるかどうかを検討しますが,引張ひっぱり強度はその最初の検討事項というわけです。

FRP素材の強度

FRPって繊維強化プラスチックだよね。プラスチックの一種?そうすると引っ張りに弱いの?と思った方,鋭いですが,結論は違います。FRP は Fibre Reinforced Plastic (繊維によって強化されたプラスチック)という語の頭文字をとってきたものです。船舶で使われる一般的なFPRには,ガラス繊維,つまりガラスを繊維状にした材料が埋め込まれています。ガラスそのものは,先程書いたように,引張強度が強く,また,繊維状に仕上げていることである程度柔らかさがあります。このガラス繊維とプラスチックとを組み合わせた複合材にすることによって,プラスチックの柔らかくしなやかという特性に,ガラス繊維の引っ張りに強いというそれぞれの特性のいいとこ取りをしているのが,ガラス繊維強化プラスチックという材料です。FRPの基材としては,ガラス繊維の他に,航空機やレーシングカーで使われる炭素繊維や,防弾チョッキなどに使われるアラミド繊維が使われることもあります。炭素繊維やアラミド線を使うと,いずれもガラス繊維より重量あたりの強度は格段に増しますが,値段がはりますので,最も使われるのは今の所ガラス繊維が多いです。オーパ・クラフトのミニボート・2馬力ボート,スモールボートは,今は基本的にガラス繊維を使用しています。

標準的なFRPの強度はどれくらい?

ではガラス繊維の強度は具体的にどれくらいあるのでしょうか。一流と認められるFRP素材であれば、強度は 110 MPa ~135 MPa 程の値*となります。Mはメガ,つまり 100 万という桁を表し,Paはパスカルと読み,面積あたり(引張試験の場合は試験片の断面積あたり)の強度の単位の一種です。

*テストプレート〖例:⑴#450チョップドストランドマット+⑵#580ロービングクロス、または⑴#450チョップドストランドマット+⑵#580ロービングクロス+⑶#450チョップドストランドマット〗の引張試験やシャルピー衝撃試験によるせん断試験で得られる値

引張強度が百数十メガパスカルというと,純鉄とそんなに変わらないくらいの値です(ただし,世の中で工業製品や構造材の材料として使われている鉄は,もっと強度が高くなるよう加工されていて,例えば炭素鋼という素材は 600 MPa 以上あります)。ちなみにゴムは,18 MPa くらい,バケツなどに使われるポリプロピレンというプラスチックは,新品で 30 〜 40 MPa くらいです。

つまり,一流のFRPは,ゴムの 10 倍,ポリプロピレンの 5 倍くらい引っ張りに強く,金属の代表選手である純粋の鉄と同じくらい。工業用品で使われる炭素鋼と比べると, 1/5 くらいの引張強度ということになります。もちろん,オーパ・クラフトで使用しているFRPは,世界で一流の材料を使用していますので,船体の強度も世界でトップクラスと言えます。

ところで余談ですが,重量あたりで強度を比べると,俄然,FRPの特徴がきわだち際立ちます。ある程度重くても強度が重要ということですと,金属を選びますが,軽くて強いものを作りたいとなると,FRP素材が有力な選択肢となります。大型の船舶は,大きくて重いエンジンを積んでも平気なので,特に外洋に出ていく船や,お客さん,荷物を沢山乗せる船の材料は金属が基本ですが,観光船や渡船クラスになると,船体そのものを軽くすることが,燃費がよく運動特性も良いとり扱いしやすい特性につながりますので,FRPも増えてきます。さらに小さなミニ・ボート,スモールボートクラスの船になると,船の軽さが重要な要素となり,船体にはゴムやFRPなどの素材が使われることが多くなります。

問題のあるFRP製ボートの船体の強度はどれくらい?

では,問題のあるボートの船体に使われているFRP材料の強度はどれくらいなのでしょうか。前回のブログでお客様などから聞いた話としてご紹介した,力がかかるところにヒビが入っていたり,ゴムハンマーで軽く叩くと破れるような症状を呈している製品の強度は、おそらく 15 MPa ~ 30 MPa 程であると推察されます。これは日用品として利用しているプラスチックの製品では、少し強い力をかけると新品でもたやすく割れてしまうような,廉価なポリバケツなどを思い浮かべていただくとよいでしょう。 岸壁や岩肌,アスファルトやコンクリートの地面と強くぶつかれば,これくらいの強度の材料だと割れる危険性が高いことがイメージしていただけるかと思います。

つまり、同じFRP製品であっても,現実的には、信頼できる素材を用いた場合と比較して,新品でも五分の一、六分の一程度の強度しかない製品が出回っていることになります。特に年数が経ち,紫外線にあたって弱くなったFRP製品やプラスチック製品の強度は更に低くなり,ひどいものになると,軽く何かにあたったり,持ち上げただけでも破れたり裂けたりします。

日本の市場では,見た目がきれいに塗装されていたり,安全・安心がうたわれている商品がほとんどです。しかし,設計や生産の検討が不足しているボートは,ユーザ様の安全を守り続けなければならない輸送機械としての条件を満たしていないともいえます。「FRP製品ならすべて安心とは、もはや言えない。」残念ながらこれが,現在の日本の安価なミニボート・2馬力ボート・スモールボート商品市場の状況なのです。 

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