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【謹賀新年】新年のご挨拶

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プロフェッショナル ミニボートビルダー blog ~ 船体設計製造から安全装備を日々考える~

【謹賀新年】新年のご挨拶

謹んで初春のお慶びを申し上げますとともに、コロナ禍にもかかわらず、旧年中に大変お世話になった方々に、先ずは心より御礼申し上げます。

コロナ禍が3年も続くことになり、今も医療系の最前線で戦っておられる方々の3年間に渡るご苦労を思うとただただ頭が下がる思いがいたします。昨年感じました想いと同様に、そうした方々のご苦労があってこそ私達の日常があることを年の初めにあらためて感謝をいたしながら、日本全国すべての方々が一日も早い平常の生活に戻れますようにスタッフ一同心よりお祈り申し上げます。今年はさらにウクライナでの戦争という世界的な危機が全世界を巻き込んで、様々な社会的混乱やそれに伴う経済的なダメージが起こっております。2023年は,大きな困難に直面している世界中の皆様に明るい兆しが芽吹いてきますように願って止みません。

2022年を振り返って

2022年は、≪分割ボートのパイオニア≫として日本で本格的な分割ボートのみ8000艇以上、世に送り出し続けて50年の節目の年となりました。コロナ禍においても、九州から北海道までの日本全国から多くの方からご注文をいただき、この場を借りて心より御礼申し上げます。

積み重なる評価

本年特に喜ばしいことの一つとして、購入していただきましたお客様から今年はとても多くの感謝のお言葉を頂いたことでした。

 『様々な小型ボートをかなりしっかりと調べ、現地でオーパさんのオーナーさんにお声をかけてみたりして決めました。1年程使ってみて本当にオーパさんの分割ボートにして良かったとつくづく思っています。ありがとうございます。』といったような,嬉しいお言葉をいただき、スタッフの皆さんも毎月のようにそうしたお客様からいただく声に恐縮しつつ、感謝しつつ、『もっと喜んでいただけるボートを造ろう!』との想いを強めた1年でした。

 船舶検査の関係機関の方々からも、嬉しい言葉をいただきました。

 『小型ボートのジャンルでは数年毎に名義変更されることが多い中で、オーパさんのボートのように20年以上使用し続けているオーナー様がこれほど多くいらっしゃるメーカーはほぼ無いし、ボートの性能に関して欠格理由により船舶検査を通せなかったことは、数十年間に及ぶ野外放置等で極度にFRP素材が劣化したような物以外では無かったので、私達も安心して検査ができますよ。』というご意見をお聞きしております。益々襟を正して、安全にご使用いただけるボートを造りたいと感じております。

 この数年、特に海外から多くの種類の小型ボートが輸入されるようになりました。しかし、ボートに関する国や公的機関の関係者からお聞きしたのですが,『特に2馬力ボートのジャンルには粗悪なボートが急増してきており、それに伴い,大きな事故も急増してきている。何かの制度設計を行い、事故を抑制する必要がある。』とのこと。

 オーパ・クラフトとしても,ここ10年近く,各種公的機関や関係機関が関わる小型ボートの安全性向上を目的とする数々の会合に参加し、積極的に提言を行って参りました。現在も一つの委員会が行われる予定で,その委員を拝命いたしておりますので、微力ながら各種の提言を行う予定です。

 最近増えていらっしゃる民間のお客様は、命に関わる機械の設計技術者、生産管理の技術者、医師、一級建築士、理系教育関係者並びに研究員、モノづくりや命に関わる系統の法人の役員、格別なこだわりを持って逸品を世の中にお届けしている工芸品制作者、環境調査を行っている国立大学の研究室及び環境調査専門の法人、等々の方々です。これらの方々が、『強度に関わる必要な設計要件がしっかりと検討さえているかどうか、加えて正当な強度に関わる各種の実証試験が行われているかどうか。』を慎重に調べた上で、『オーパ・クラフトさんのボートに決めました。』と言っていただける件数が益々増えてきました。官公庁需要としては、総務省を始め、政令指定都市に所在し、納入にあたっての厳しい基準を設けている消防本部への納入比率が高くなってきました。

民間に向けての納入、官公庁に向けての納入、いずれにしましても、より厳しい目を持たれていらっしゃる方々に選んでいただけるケースが増えていることにつきましては、これまで50年間に渡り必要なことにこだわり続けて、更に世界のボートメーカーのどこも目を付けていなかったところに着眼し、ひたすら研究・開発を重ねてきた当社としましてはとても喜ばしい傾向となりました。

送り出したレジャー艇の新商品

50周年を迎えて、新たに取り組みました大きな挑戦といたしましたこととしては、船体に大変高級なアラミド繊維〖ケブラー〗を用いることでした。この東レ・デュポン社製ケブラーは、防弾チョッキに用いられており,銃弾を貫通させない程の驚異的な強さを秘めています。他にも海洋ケーブル、超高速艇、国際レースに出場する大型ヨット、高級タイヤホイール等々に用いられており、世界では益々需要が拡大しています。船体に用いる上での最も大きいメリットとしましては、もし航走中に暗礁やコンクリート構造物にぶつかったり,硬度の高い障害物の角などが船体を擦ったりしても、切創,つまり繊維が断裂して船体が裂けたり割れたりする可能性がこれまで以上に低くなることです。

 このアラミド繊維を使用するにあたり、FRP専門の機関が発行した資料から各種強度の数値を拾い出しただけでなく,自社で各種のテストピースを制作して名古屋工業研究所において実際の実証試験を行いました。加えて、社内においても独自に開発した強度試験機により衝撃試験を行いました。期待はしていましたが,このアラミド繊維の試験片は,見事なほどにその期待を上回る力を実証してくれました。

 〖耐切創性〗という,擦れや切り裂きに対する強度ジャンルーこれはまさにボート本体の強度を考える上で非常に重要な性質となりますーにおいて、アラミド繊維はFRPとして成型した状態でも格段な強さを実証しました。これらの実証試験結果を国の関係部局に提出したうえで,アラミド繊維を業界で初めて本格的に採用した新小型分割艇【オーパ・スペシャリテ KV light】を発売いたしました。この新艇は,ボート専門雑誌〖ボート倶楽部〗を発行する舵社においてお取り扱いいただくことになり,大変注目を浴びております。

 このアラミド繊維につきましては、順次救助艇や業務艇にも使用を順次拡大していきます。益々ガレキに負けない,真に頼もしい救助艇,業務艇として活躍してくれることを願っております。

開拓した販路

 50周年の新たな取り組みといたしましては90年の歴史を誇る老舗のマリン専門の出版社である株式会社舵社様との業務提携です。上述しましたように,【オーパ・スペシャリテKVlight】を専門的に取り扱っていただいております。舵社が出版している〖ボート倶楽部〗において、紙面上とオンライン上にて取り扱い商品として掲載されております。舵社の皆さんは,小型ボートのジャンルにおいても最も厳しく評価することができる高い見識をもたれていらっしゃる専門家集団です。そうした長い歴史と高い見識を持たれた舵社様に認めていただけたことはとても幸いな出来事でした。

新防災艇 AW-69 のデビュー

 50周年を迎えて、もう一つ新たな取り組みました大きな挑戦としましては、救助専用のフロート付き一体艇〖AW69〗を昨年6月に横浜で開催された国際消防・防災展において、100年以上の歴史を誇る大手消防・防災専門商社〖株式会社赤尾〗様のブースで登場させました。

 この艇の最大の特徴は、大きさとしては2馬力艇〖免許・船検不要船〗の大きさでありながらも、ボートの片側に6人片寄ったり、8人乗船して精一杯ボートを揺らしても、大型フロートの効果から全く転覆するまでには至らない大きな安定性が得られます。そのために救助時や捜索時に大いに活躍する機動力を有しております。こうした特に救助のプロ、捜索のプロを支えることができる〖優れた跳ね上げフロート〗の実証試験の結果も、国の関係部局に提出しております。新たな可能性は益々広がっていくことを願っております。

製品カタログの刷新

この度、50周年を記念してオーパ・クラフトの製品カタログをリニューアルいたしました。その中に、我が社が日々真剣に探求してきた『極み』と言えるテーマ、『世界最高水準の【安全性、耐久性、利便性】のハーモニー』の技術・理論・アイデア、に関しましても記載いたしましたので、ご一読いただければ幸いです。特に世界中においてもオンリーワンである『10秒装着、1秒跳ね上げ可能で、跳ね上げて航走して爽快・快適!下して安定・安心!の跳ね上げフロート』の魅力をコンパクトに記してありますので、是非ご覧ください。

2023年を迎えるにあたって

 冒頭申し上げましたとおり,疫病や戦争の災厄のみならず,気候変動や所得格差の拡大が,社会や個人の幸福追求を妨げているのみならず,今ここにある危機,身の回りにある隣人の苦しみから目をそむけ,将来の世代に問題を押し付けることに悲しみを覚えることが多くなったように思います。また,当社自身の取り組みも,なんとか結果を出そうと努力を重ね,新艇発売などいくつかの結果を出してまいりましたが,一方で,いくつかの点で忸怩たる思いを積み上げてきた一年でもありました。

 2023年は,希望の光が射す明るい年になりますように願って止みません。そのために,自分でできることを確実に進める一年にしたいと思っております。

 新年が,皆様にとってよい一年となりますよう。

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