オーパ・クラフトにはよく常連のお客様がいらっしゃいますが、そうした、FRPボートユーザーとして長年お付き合いいただいている方でも、意外にオーパ・クラフトのボートの強さがどこから生まれるのか、伝わっていないなぁと感じることがあります。 そこで、順番にオーパ・クラフトのこだわりや取り組み、使っている技術などについて紹介していくことにしました。
FRPとは、Fibre reinforced Plastics, 繊維強化プラスチックのことです。 プラスチックは柔らかくて軽く、それなりに強度がある素材であること、石油(かつては樹液)など比較的安価な天然資源から製造できる事、型に流し込む成形技術などにより比較的自由な形に造形できる事から、家庭で使われる建築材や電化製品の部品などの分野で、伝統的な材料である木材や金属材料が使われていた部分を置き換えるように普及してきました。
しかし、プラスチックだけでは、強い力には耐えられません。プラスチックだけでできた部品を金属のハンマーで叩けば、壊れてしまうものがほとんどです。ですが、せっかく、軽く、安価に製造できる、自由な造形ができる、という特性を生かすための方策として、強度がある骨の部分を入れ込んでやってプラスチックでおおい、全体で力に耐えられるようにしてはどうかという発想から、繊維強化プラスチックが生まれました。
FRPに使われる繊維としては、現在はガラス繊維が多く使われています。また、航空機やレーシングカー、風力発電用の羽根など、より強度と軽さが求められる分野では、炭素繊維が使われいます。ガラス繊維も炭素繊維も、外部からかかる力、特に引っ張られる力に耐える力が金属やプラスチックなどに比べて格段に強いです。このため、繊維の強さとプラスチックの柔らかさと組み合わせると、軽くて丈夫な製品を作ることができます。
比較的短い長さの繊維が不規則に積み重なり、接着剤のような素材で繋がっています。どの方向からの力にも均等に耐えますが、引っ張りの力には接着剤の力で耐えることになるため、編み込んである布に比べると、あまり大きな力に耐えることはできません。 用途としては、ガラス繊維布としては比較的安価である事から、構造全体にわたって使用します。
ボートの船体には様々な力がかかります。例えば、波による突き上げ、潮や風による横からの力、大きなタンカーのような船ですと、内部の荷物(石油など)の圧力などです。また、マストやオールなど、長い構造物がつながっている場合、それらを支えるために船体につながっている部分には、押したり引っ張ったりする力、回転しようとする力など、複雑な力がかかります。
オーパ・クラフトは、一人でも取り扱えるようにと軽量なボートを作り続けていますが、温度条件が過酷でなければ、軽量にするために金属よりも比強度(重量あたりの強度)が確保できるFRPを使うことが一般的です。ただし、上記のように複雑で思ってもみないほどの大きな力がかかるので、
どのような種類のFRPを使うか、どのような場所にどのように使うか、慎重に設計する必要があります。 上の表で紹介した3種類のFRPも、原価や強度が違っており、それぞれ使い分けをします。オーパ・クラフトの場合、3種類とも使用しております。いずれも高品質な大手メーカーの部材です。日本のガラス繊維メーカーは世界的にも最高品質のガラス繊維を提供しており、抜群の強度と品質の安定性を誇ります。
強度がそれほど必要ない場合、ガラス繊維の材料として安価な再生ガラスを利用するものもありますが、再生ガラスを利用すると、部材の強度の均一性が保てなくなり、全体の強度が下がる恐れがありますので、オーパ・クラフトでは、小型・分割ボートに必要な強度と軽さの確保、長年にわたってお使いいただく為の品質確保のため、いずれも新規に生産されたガラスで作られたガラス繊維を使用しております。
また、単純に強度を高めたいからと硬い素材(金属)と組み合わせると、FRPは割れたり、内部の層がはがれる恐れが出てきます。このため、硬い素材をFRPポートに組み合わせるためには、材料や構造の知識、適切なFRPの種類の選択のノウハウなど、様々な技術が必要とされます。オーパ・クラフトは、長年にわたり、FRPの特性を研究し、金属とFRPなど異なる種類の素材を接合するための独自のノウハウを蓄積してきました。分割ボートのジョイント部分やフロートのソケット部など、最も強度が必要とされる部分には、このオーパ・クラフトの独自のノウハウが注ぎ込まれており、安全性や耐久性、利便性をバランスよく確保しております。