こちらのページでは,オーパ・クラフトのフェンダー・フロート付き小型分割ボートの技術的な解説を掲載しています。
オーパ・クラフトが特許取得や50年の研究・生産の過程で培ってきた技術の一端をご紹介する資料を掲載しています。
全周かみ合わせ式船体締結の技術
オーパ・クラフトの分割ボートの際立った特徴の一つが,全周かみ合わせ方式のFRP製ジョイントによる船体締結です。一般的な分割ボートでは,前後の船体をボルトでつなぎとめる方式や,フックでひっかける方式が多いかと思いますが,オーパ・クラフトでは,前後の船体の結合部にかぎのような部分を備え,それがかみあわさり,さらにかみ合わせ部のゆるみを防止するためにジョイント板とよばれるくさびでかぎ部分をしっかりとかみあわせ,船体をつなぎとめる方式を採用しています。最後のボルト締結はジョイント板がはずれないためで,船体の結合強度には関係ありません。船体が受ける複雑な力は船体のFRP製結合部が全周で受け止めますので,力が一箇所に集中せず,極めて頑丈な結合となります。
なぜ船体の結合にボルトを使わないのか。確かに,ボルトを使うことで重量は軽くすることができます。オーパ・クラフトのボートを実際に見ていただいた方はご存知かもしれませんが,全周かみ合わせ方式のジョイント部は,FRPの厚みが10ミリを越えます。大型のクルーザーですら船体のFRPの厚みは数ミリ程度ですので,いかにこの部分が厚みをもっているかがおわかりいただけますでしょうか。ただ問題としては,FRPの厚みが増すということは,それだけ重量が重くなります。軽量で一人でも運びやすいのが分割ボートの特徴ですから,重量だけ考えれば,ボルトでもいいのではと考える方もあることでしょう。 しかし,全周かみ合わせ方式は3つの利点があると考えています。
安全性,耐久性,利便性を高度なバランスで実現する,これが,オーパ・クラフトの分割ボートなのです。詳しくは,社長ブログ「なぜオーパ・クラフトは全周かみ合わせ式のジョイントにこだわるのか」を御覧ください。
世界最高水準の転覆防止用フロート
フロート(浮力体)本体には、豪華クルーザーの保護に使われる防舷材(フェンダー)を採用しています。このフロートは,世界でもトップクラスの米国ポリフォーム社。何十億円もするボートが港に停泊している際,ボート同士やボートと岸壁との直接衝突を防止するための素材で,直射日光のあたる屋外で何年にも渡って使い続けられるものです。そのため,紫外線に長期間暴露されても柔軟性を失わないことや,大きな衝撃,静的荷重に耐えうる強度や取り扱いの簡便性のために求められる軽量性が必要とされています。こうした特性は,オーパ・クラフトの考えるフロートにぴったりです。
更にそのフロートを支える金具は、特許取得技術により圧倒的に簡単に装着できるよう設計されており、その強度も格別です。
しかも、船体取り付け部位の補強には、経済産業省から【愛知の優れたプラスチック技術】を活用した事業と認定された程の技術力を導入しており、長年使用しても船体をしっかりと守ってくれます。長年の研究成果のすべてを注ぎ込んで創出したフロートが、世界最高レベルの安全性を生み出しました。そこで、オーパ・クラフトでは客様の安全を第一に考え、業界初、すべての艇にフロートを装着したセット艇のみの販売に踏み切りました。
社長ブログ「ミニボート技術指針とオーパ・クラフトの船」にもまとめましたが,オーパ・クラフトでは,日本国内の「ミニボート技術指針」などの公的な技術基準を遵守するだけでなく,さらに厳しい社内検査基準や設計指針を持っています。
また,近年は,国土交通省や海上保安庁など関係省庁の要請にこたえ,オーパ・クラフトのこうした設計指針や基準の一部を開示し,日本国内の小型ボートがより安全なものとなるよう,業界のレベルアップの基礎となる基準改定のお手伝いをさせていただいております。
オーパ・クラフトが極めてきた技術
オーパ・クラフトのフェンダー・フロート付き小型分割ボートには,様々な科学・技術の知見が使われております。
まず必要なのは,化学の知識です。創業者がFRP(繊維強化樹脂)製品を開発・加工しはじめるのにあたり,化学や材料工学の知見が真っ先に必要となりました。季節の変化により次々と変わる樹脂原料や溶剤の特性を把握し,季節にあった加工をしなければならなかったからです。繊維に塗り込める樹脂やその溶剤は,気温によって粘度や硬化速度が大きく異なってきます。狙った通りの強度,適切な生産時間,ばらつきの少ない品質,これらを満たすためには,きめ細かな材料の切り替えや検査が必要です。
また,小型ボートという波浪の影響を受けやすいボートの設計には,水力学,船舶工学などの知見が必要です。
加えて分割ボートという独特の小型ボートに必要な,しっかりとした強度と適度に軽量であるという独自の基準を満たすためには,強度計算や構造設計といった,機械工学や材料工学の知見が必要となります。
耐久性を自ら検証する
オーパ・クラフトでは、独創的なアイディアを製品化するまでに、10年以上の時間をかけて上記のような各種の科学に基づく技術の研究・検証を行い、自ら様々な実験器具も開発してきました。例えば,独特のフェンダー・フロートの開発には,数十万回に及ぶ衝撃耐久試験に耐えうる装置を自社内で開発し、船体とフロートの接続がどこまでの振動に耐えるかという実証実験を納得いくまで繰り返しました。また必要に応じて公的研究機関に依頼して試験を行う事もあります。
こうした地道な努力の積み重ねにより,オーパ・クラフトの分割ボートは,船体結合やフロートなど重要保安部分に関わる部分は、発売後も高いレベルで強度・耐久性を維持するよう設計・生産されており、通常使用でこうした部分の大きな破損は一切発生しておりません。
技術解説コラム集
謹んで初春のお慶びを申し上げます。旧年中は皆様に大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。
謹んで初春のお慶びを申し上げますとともに、コロナ禍にもかかわらず、旧年中に大変お世話になった方々に、先ずは心よ…
前回(ミニボート,2馬力ボートの安全性を見つめ直す その4.1 )で予告したとおり,今回は,当社が使用している…