謹んで初春のお慶びを申し上げます。旧年中は皆様に大変お世話になりました。心より御礼申し上げます。
昨年はコロナ禍がようやくほぼ収束したと感じた節目の1年となりました。これまで医療や社会を支えながら最前線で戦ってこられた方々の5年に渡るご苦労を思うと、ただただ頭が下がる思いがいたします。あらためて心より感謝申し上げます。
昨年、一番心が痛んだ出来事は、石川県輪島地方の大震災及びその後の水害の発生でした。日本全国の自治体向けに水難救助用の分割ボートを製造しております当社にとりましても、これまでに感じたことのない得体の知れない恐怖感や無力感を感じた出来事でした。「こんなことが現実に発生しても良いのだろうか、何か得体の知れない力が働いているのではないか…。」大きくて深く暗い裂け目に吸い込まれていくような不安な気持ちがしばらく続いたことを今でも忘れることができません。ちょうど1年前の出来事でもありますので、新年に際しまして、あらためて甚大な被害に遭われた多くの方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
年末のNHKの特別番組「プロフェッショナル」でも放映されていましたが、ご自身も被害に遭われながら、心ある方々が立ち上がり、彼ら・彼女らが手をつなぎ、支え合い、数ヶ月にわたり十万食以上もの炊き出し活動を続けられ、被害に遭われた方々の命をしっかりと守り抜いた行為に対して「人としてのとてつもない大きなエネルギー」を感じました。
皆さんがインタビューに答えておっしゃっていたように、「個々の人々は、傷つき、力は弱くても、そんな方々がつながり、励まし合い、未来に向かって明るさを失わないようにと歩み続けることによって、莫大な影響力を発揮できる。」ことを大いに学ばせていただきました。私も個としては非力であっても、ご支援いただく方々やスタッフとともに今一度、明るい気持ちを強く心に持ちながら、分割ボートを通して「心の平和や命をつなぐ活動」をして参ります。
新年早々計り知れない程の重い気持ちに陥りながら、その後、大きな感動と大いなる明日への勇気を感じることができたのは、やはりロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の大活躍によるものが大きかったと感じています。彼も順風満帆だったわけではなく、シーズン開始前は、凡人には計り知れないスケールでの仲間の裏切りがありました。加えて新チームドジャースに移籍したことで受ける途方もないほどの大きなプレッシャーと、ピッチャーとしての生命を脅かす大手術を受けたことへの大きな不安材料などが当然、心の中に混在していたはずです。
けれど、その不安な感情をほとんど表情に出すことなく、常に常に明るさを失わず希望に向けて決して歩みを止めることがなかったその姿勢に、この1年間、私のみならず世界中の多くの方々がどれほど大きな勇気と心の明るさをいただいたことでしょう。全世界におけるベースボール100年の歴史の中でたった1人と言われるような大谷選手が、日本人であり、さらに言えば、大震災に見舞われた東北のご出身、というまさに奇跡のような出来事に、1年の後半に本当に大きな大きな勇気を与えていただきました。輪島地方で毎日粉骨砕身努力されていらっしゃる皆様にもきっと大きな励みになっていたのではないかと思います。今一度、明るい気持ちを心に持ちながら、分割ボートを通して「心の平和につながる活動や人命を救うことにつながる活動」に、より一層大きな勇気と粘り強さを持って邁進して参りたいと思っております。
2024年の防災艇事業のふりかえり
救助・防災用の分割ボートについてこれまでの1年を振り返りますと、数年前、長野県の千曲川沿いで大水害が発生した地域及び群馬県の鬼怒川沿岸で大水害が発生した地域に対し、省庁・県・市の強力な地域連携事業として当社に対し強いお引き合いを頂戴いたしました。それぞれにまとまった数の救助用の分割ボートを納入させていただきましたが、強い要請に基づく短納期での納入希望をいただきましたので、当社としてもスタッフ間で、当社の品質を保ったままで指定納期の納品の責任を果たせるだろうかと、何度も協議を重ねました。当社をご指名いただく過程で、厳正な審査の上、適格品質とお認めいただいた故のお引き合いは大変光栄な事であり、まさに人命救助の根幹につながる大変重要な要請として、スタッフともども社会的責任に鑑み、お引き受けするべきだと合意し、ある程度供給数を制限させていただきながらも納品させていただきました。ただそのことで、レジャー艇をご要望いただきながら納期の件で影響を与えてしまいましたお客様には今でも大変恐縮に感じております。大変光栄であり、またありがたかったこととして、待ってくださっているお客様の皆様が、当社が直面している社会的意義と当社スタッフの想いを心温かく受け止めてくださり、とても優しいご配慮をくださったことが挙げられます。ここにあらためて深く感謝申し上げます。
2024年のレジャー艇事業の振り返り
レジャー艇におきましても、医療及び教育、消防及び警察、研究開発、品質管理、行政、経営など、特に「命や社会に対して大きな影響力を持つ分野」でプロフェッショナルとしてご活躍の方々が真剣に情報をお集めになり、その上で当社の艇に決定していただいたケースが多くございました。その皆様の想いの強さにスタッフ一同心から感謝いたしながら、一艇一艇「世界に誇れる分割ボート」と意識して丁寧にお造りいたしました。
昨年も当社オリジナルの跳ね上げ式フロートに感激された方々から下記のような多くの声をいただきました。20年近くかかって丁寧に開発し世に送り出した逸品ですので、開発者として格別な喜びを与えていただきました。
「跳ね上げ式フロートは、下ろした際の基本的な安定感は抜群な上に、跳ね上げてしまえばフロートにより減速する感じが全くなく、夢のような最高のパフォーマンスを感じています。本当にありがたいです。」
2025年の抱負
跳ね上げ式フロートに関して、本年は「夏季あたりに何かの機会を設けて跳ね上げ式フロートの素晴らしさを体感していただけないか？」と、新たな模索も始めてまいります。
今後、ご購入いただいたオーナーの皆様に10年、20年と使い続けていただくためには、オーナー様の年齢が上がっていくことによる体力低下に対してどのように向き合っていくかという課題が、お客様のより高い満足感を目指す上では避けては通れない課題であると認識しております。様々な方向からこうした新たな利便性も探求し続けます。
新しい年を迎えた今も、世界ではまだ戦争や国際的紛争が終わる気配を感じられず、国内の輪島地方では、まだまだ関係者の皆様方が全力で復興を目指して頑張っていらっしゃる最中です。一方で、コロナ禍は完全とは言わないまでもかなり収束してきた事にほっと胸をな撫でおろしております。
2025年、これからの１年間も、大谷選手を始め、あらゆる前人未踏の分野において頑張っていらっしゃる方々から大いなる勇気や感動を与えていただけることに期待しながら、自らもそんな方々に近づけるよう精進してまいります。
当社オーパ・クラフトといたしましても、「※適切なルールや一歩踏み込んだ安全意識」を守った上で発揮できる「安全・快適な分割ボート」をお造りすることを通して、お客様にますます貢献して参りたいと考えております。 ※12月当社ニュースに掲載済の記事をご参照ください。
オーパ・クラフト艇のオーナー様に、陽光降り注ぐ穏やかな海上や静けさの中、また、絵画のような新緑の景色に溶け込む湖上にて、渡ってくる心地よい風を感じながら心奥深くに溜まった疲れを癒していただき、どうぞ明日への大いなる勇気を感じていただけますように！
2025年が、大きな災害がなく穏やかで明るい年になりますように願って止みません。
新年が皆様にとって良い年になりますようにお祈り申し上げます。
OPACRAFT
代表取締役 福庭 正宏
