いよいよ,今シーズン発売する新商品の開発が佳境に入ってきました。これまで様々な実験を繰り返し,材料や構造が十分,期待した強度や柔軟性を保っているか,誰でも簡単に使え,かつ,多少ラフに扱われても使われている方を傷つけないかなど,いろんな検証をしてきました。上記の写真は,こうした試験のほぼ最後の一つ,振動試験とよばれる試験をおこなっているところです。ダンボールで囲っているのは,未発売の商品の秘密を守るという意味もあるのですが,音がかなり発生するので,防音の意味でもつけてあります。
今回開発しているこの試作品,数々の試験をクリアし,厳しい当社の基準を満たすことがわかったので,ほぼこれで発売のめどがたちました。今シーズンのどこかのタイミングで,新しい商品が発売できます。
このあと,最終的な微調整のため,実際に有志のモニター様にお使いいただき,水上での使い勝手を複数の方の目で,チェックしていただきます。
開発は,いろいろな段階に別れます。基本的な概念設計,技術検証のための試作,実際の商品に近い段階の試作,そして,最終的な技術的検証の段階の試作,…。各段階で,レビューを行い,実際に設計通りの強度や耐久性,使い勝手になっているかを,それぞれ数値的な達成目標をおいて検証していきます。
こちらの写真は,落下試験のための器具です。重い鋼球を部材にぶつけることで衝撃を与え,それに耐えられるか,どのような挙動を示すかなどを知るために行います。
オーパ・クラフトのボートについているフロートやドーリー(移動用タイヤ)を取り付けるソケットの周囲,あるいはかみ合わせ部分をはじめとする分割ボートの接合部は,船体をかなり強化し,ソケットを通じて船体にかかるさまざまな力に耐え,逃がすことができるよう設計してあります。単純に厚みが増しているだけでなく,使用しているガラス繊維も,クロスといって縦横に繊維が編み込まれた丈夫なものを使用していますが,どんなに丈夫になるだろうと経験が豊富なものが設計,製作しても,実際にさまざまな環境に晒したり,衝撃や持続的な力を加えてみて初めて,その商品や部材が安全かどうかがわかります。
こうした工業的な検討を経て,オーパ・クラフトの商品は発売されます。どうしても時間もお金もかかりますが,メーカーとして,人の命を預かる輸送機械のつくり手として,こうした検証はどうしても欠かせません。
今回開発している商品は,そうした検証を経ているだけでなく,商品そのものが,ボートをお使いいただく方の安全性,利便性を高めるものです。オーパ・クラフトとして新商品のお披露目・発売が大変楽しみです。